11 梅田店閉店に際しての呟き - Staff Blog - coincidence|コインシデンス

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2019.12.12梅田店閉店に際しての呟き

 

去る12月3日に、およそ10年にわたって営業を続けてまいりました梅田店を

閉店いたしました。

 

関西の基幹店として、より多くのお客様にcoincidenceを介してたくさんの

「発見」をお届けできたことは、私たちにとってとても幸せなことでした。

小さかったけど、たくさんのお客様に愛された、とてもいい店舗でした。

 

私たちが扱っているのは、

「日用品以上、芸術品以下」にカテゴライズされるコスチュームジュエリーです。

 

装飾文化が成熟していない場所の1つといわれる日本において、

コスチュームジュエリーは

素敵だけど身に着けるには少し勇気がいるな、

どんなときに使うのかな、

どんな洋服と合うのかな、

チャレンジするにはちょっと高いかな、

使わなかったらもったいないな、などの

いろいろな思いをお客様にめぐらせてしまう悩ましい存在です。

 

コスチュームジュエリーにはもちろんデザイナーがいて、

デザイナーが魂をこめて「手」で作っています。

 

そのジュエリーが海を越えて日本にやってきて、

デザイナーの思いやデザインコンセプトなどをお客様に伝え、

1人1人のお客様の疑問にお答えして 

お客様のテイストに合わせて「口」で提案させていただくのが私たちの仕事です。

 

たとえば同じイヤリングでも、

つけるお客様によってまったく違う命を吹き込まれる姿を見られることは、

私たち「伝え手」の喜びです。

ジュエリーは家主を見つけてこそ、本来の輝きを見せるものだからです。

 

私がcoincidenceをはじめて15年が経とうとしていますが、

この間に大きく世の中が変わり、「便利」が席巻する時代になりました。

必要な情報をささっと解析してネットでポチればすぐに欲しいものが手に入ります。

当然私たちもそんな潮流にあわせてネットショップを運営しておりますが、

私がそんなことを口にするのは経営者としてどうかと思うのですが、

やっぱり、なんだか違和感を覚えてしまうのです。

 

惹かれるけど、ちょっと癖のあるジュエリーだな、

どうやってつけたらいいかな、

私に似合うかな、

意外といけるな、

どういう服とつけようかな、

どんなときに使おうかな、

そんなことを思われて、

私たち販売員とたくさん会話してくださりながら

一度迷って帰られて、

後日またいらして連れて行く決心をされる。

 

そういうことを全部全部含めて、「買う」ということのような気がするのです。

 

当然サイバー空間にもたくさんの情報を詰め込み、

販売員が「口」で説明するよりも

簡単に、正確に商品のご案内をすることはできます。

 

でも、お客様がご試着された姿を見て一緒に迷ったり、

お話を聞いたり聞いていただいたり

そういうコミュニケーションを「買う」という行為から

はしょってしまうのは、なにかひとつ、文化が失われていくような寂しさを覚えます。

 

そういう時代になったからか、

店頭で悩んだり会話を楽しまれるお客様は少しずつ、少なくなってきました。

 

コスチュームジュエリーは同じ商品でも、

人が「手」で作るものなので固体によって個性があり、

同じ商品の中から「これ!」と、ご自身の感覚を大事に選ばれるお客様は

たくさんいらっしゃいます。

 

でも、そういう個体差のある商品はネットショップには向きません。

同じ情報に対しては同じ商品を用意する必要があるからです。

 

ブラウザを通して「出会い」を感じられるようなページを作ればいいのですが、

やはりそこに、直接人間が存在していないことに慣れなせん。

 

悩んでお買い上げいただいた商品を丁寧に拭いて包装します。

家に戻られて袋を開けたときに、またうれしさを感じていただけるように。

素敵な出会いがあった、と思っていただけるように。

 

大事な娘を嫁がせるような気持ちで紙袋をお客様にお渡しし、

心をこめてお客様をお送りします。

 

これが、「売る」ということで、大切なお金を預かることなのだと思っています。

 

販売員はAIに淘汰される仕事NO1だといわれていますが、

それは、売買に含まれるいろいろなストーリーを徹底的に省略した結果です。

 

そういうストーリーは無駄なことなのかもしれない。

でも、人間だからこそ、無駄を楽しんで生きて生きたいと思うし、

それは立派な文化だと思うのです。

 

 

梅田店の営業最終日、

たくさんのお客様がプレゼントを持って来店してくださいました。

列を作ってスタッフにご挨拶に来てくださいました。

 

営業終了後、梅田店の壁も什器もどんどん壊されていきました。

営業開始から最後まで店を守り続けてくれたスタッフ、

途中で転職しても、撤収を手伝いに来てくれたスタッフとともに作業をしながら、

10年前、オープンに向け心躍らせて店舗のディスプレイをしたことを思い出しました。

 

撤収後、梅田のスタッフは抱えきれないほどたくさんのプレゼントをもって帰宅しました。

その姿を見て、スタッフのみんなが

この小さな梅田店から想像もつかないほどたくさんの幸せを、たくさんの出会いを

お客様のもとに届けてくれたことが痛いほどわかり、感謝と寂しさでいっぱいになりました。

 

そしてなにより、

そんなスタッフを頼って店舗に足しげく通っていただいたたくさんのお客様に、

深く深く、感謝申し上げます。

10年間、本当にありがとうございました。

この場を借りて、御礼申し上げます。

 

 

 

coincidence代表

糸井香織